工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

機械、電動工具をその性能、品質から考える(海外メーカーとの比較において)【その7】

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木工機械、電動工具の現状

電動工具

このジャンルでは、これまで少し詳しく記述してきたように、日本のメーカーは総合力としては世界屈指の強力な商品群を市場に展開しているといって良いでしょう。

主要メーカー3社は、海外への輸出も積極的に展開しているものと思います。
FWW誌でのTool TestのコーナーではMakita、Hitachiは欠かせない商品と位置づけられてることからも、その海外戦略を推し量ることができます。

Fine Woodworking #214

Fine Woodworking #214

このTool Testでハンドルーター(Heavy-Duty Plunge Router)が対象になっていましたので、一部紹介します。(前回同様、著作権の関係からそのまま表示することはできませんので、一部引用と、イメージ画像に留めざるを得ない事をご理解ください)

代表的メーカーのHeavy-Duty Plunge Router(各社、1/2”軸の主たる機種が対象となっていると考えて良いでしょう)がテストの対象とされ、商品の特徴の紹介とともに、なかなか興味深いコメントが付されています。(本誌はこちら



Heavy-Duty プランジルーター

Heavy-Duty プランジルーター

日本のメーカーではMakita RP2301FC、およびHitachi M12V2が対象にされています。

照合してはいませんが、日本国内で販売しているものと、ほぼ同様の機種と考えて良いのではと思います(違いなどご存じであれば、ご指摘ください)

評価としてはFestool社の OF2200が「BEST OVERALL」(総合的にベスト)とされ、嬉しいことに
Hitachi M12V2が「BEST VALUE」(価値あるベスト、2番手)として上がっています。(Festool・OF2200の個別評価記事

Makita RP2301FCは決して評価が低いのではなく、2灯のLED搭載など、良い印象を与えているようです。
ただ肝心のプランジ機構や電源SWに難があるとの評価です。(FWW誌での個別評価ページ

因みにHitachi M12V2は、私がハンドルーターとしては最初に導入したM12の後継機種になりますが、プランジ機構へは最大の評価(スムースな動き)、
スピンドルレンチはBadと。

昔から鉄板を切断しただけといった感じのチープな品質でしたが、現在も全く改善されていないようですね(FWW誌での個別評価ページ

細部への評価はともかくも、日本メーカー、思いの外がんばっていると思います。

海外の優れたところをキャッチアップさせ、かつ得意なLED搭載など、まずまずの評価だろうと思います。


「BEST OVERALL」と最高の評価を受けたFestoon社のOF2200ですが、本連載冒頭に挙げた、OF1400の上位機種で、私も憧れのマシンであるわけですが、パワー、およびいくつかの付加機能を除けば、基本的な性能、機能などはほぼ変わらないようです。

つまり、スピンドルの締め付け、解放でのラチェット機構、多くの操作がツールフリーでのワンタッチ、あるいはプランジ機構のバーがオフセット等々、細かなようで、しかし作業者にとっては使い勝手の良さに関しては、他社メーカーのものはまだまだ追随できていないということも分かりました。(特許に関わる領域の機能も多いと考えられ、簡単には追随できないという問題もあるのでしょう)


繰り返しになりますが、付け加えておいた方が良い項目として、本連載企画でも詳述したユニバーサルテンプレートガイドの対応の問題があります。

多くのユーザーの場合、1つのジャンルの電動工具を複数のメーカーのもので揃えると言うことはままあり、私のハンドルーターの場合も、Festool、Dewalt、Potercable、Bosch、日立、リョウビ、と6台全て別メーカーです。

それぞれにテンプレートガイドを用意するというのは合理的ではありません。
この程度のアタッチメントであれば、相互に乗り入れ、共用できる汎用型であるべきでしょう。

ユニバーサルテンプレートガイド

ユニバーサルテンプレートガイド

因みに、私のラインナップでこれが使える機種はFestoolDewaltPotercableの3台です。(右画像参照:クリック拡大)
(無論、ベース部分をユニバーサルテンプレートガイドに対応できるように自作すれば、これらが使えるようになるのですが、標準仕様として対応できればありがたく、それは導入へのインセンティブになるでしょう)



さらに、特徴的なこととして挙げておきたいのが、アタッチメント、周辺機器の展開です。
これはハンドルーターに限ることではなく、電動工具全般に共通する問題です。
上げればきりがありませんが、Festool社での特徴的な展開が、多くの機種でガイドレールが提供されています。

確かにハンドルーターでの作業では、被加工材の不均質な物理的性質から、負荷の変化で大きく暴れてしまうことがあり、目的とする切削ラインから外れたり、作業者に危険が及ぶ場合もあり、これがレールで制御されることで、より安全に安定的に切削できることになります。

他にも、ハンドルーターを用いてのルーターテーブルであったり、細かなところでは、丁番の溝を彫り込むためのジグに至るまで、多種多様なアタッチメントが用意されています。

これは、自社が開発するマシンを最大限に活用させるための周辺機器の開発整備ですね。

もちろん、本体マシンへの強い思い入れがあるからこそでしょうし、現場のユーザーがその機種をどのように使い、そこで何が必要とされるのか、どのようなアタッチメントを供すれば喜ばれるのか、といったユーザービリティに富んだ姿勢の表れと言って良いでしょう。

日本メーカーにおける電動工具展開の特徴

翻って、日本のメーカーではどうでしょう。

各社、専用のテンプレートガイドの他、ビットも多用に展開されているようです。
(ビットは専門のメーカーがありますので、マシンのメーカーとしては、さほど重要なジャンルでは無いわけですが)
他に視るべきアタッチメントの展開で特記すべきことは、残念ながら探し出せません。

なお、同一のメーカーが製造するマシンでも、テンプレートガイドの仕様が異なっていたり、ましてやメーカー横断でのアタッチメント共用の意志が視られないのは残念なことです。

これは、メーカーとしての確固たる設計指針に立った商品開発であれば、テンプレートガイドの仕様などでは一貫性を持たせ、商品横断での、あるいは更新後も変わらぬ共通仕様を展望した開発をすべきと考えますが、そうした姿勢にも欠け、ましてやメーカー横断での共通仕様などへは望むべくも無いといったようで、ユーザーにとっては困ったものではあります。

木工分野の電動工具において、他では、例えばDominoなどの革新的なマシンと同等の、革新性に富んだ独自の分野での電動工具の開発は果たしてどんなものがあるでしょうか。

あるいはLameloに観られる新たな機構(Zetaのようにビスケットがロックされるというものであるとか)を搭載させるといった新奇性のある独自の展開はあるでしょうか。

Lameroビスケットジョインターは特許が開放されて以降、日本のMakitaも同様の製品を製造販売してきました。
もし、意欲的な開発思想と経営資源の投入があれば、このLameroの新機種のような分野へと進出することだって不可能では無かったはずです。

日本のメーカーは、海外のメーカーを凌ぐ良い性能のものを製造する能力に長けていること、あるいはそこに付加機能を搭載する、という能力と意識は高いものの、革新的なマシンを新たに作る(創る)という思想、企業理念においては残念ながら弱いと評価せざるを得ず、いわば1周遅れのTopランナーのようであると感じてしまうのは私だけでしょうか。

本稿、まだまだ続きます 汗;

hr

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