工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

椅子の構造のキモは後ろ脚の接合強度

週末のエントリに続き、座布団椅子の制作に関わるお話し。
画像は妻手枠(=台輪?)と後ろ脚、および前脚の接合部分。
この部位は座った人の体重のかなりの部分を支える大事なところ。
仕口は何と呼称すべきか、詳らかにしないのだが、鳥海義之助氏の「木工の継ぎ手と仕口」もよれば〈抱かせ欠き内枘接ぎ〉、とか〈被せ内枘接ぎ〉、などと表記されているようだ。
でもここは職人なら“鬢太”(ビンタ)を使い〈内枘鬢太延ばし〉って言うのがクール? 
仕口の特徴としては、鬢太を延ばすことで接合強度も高く、納まりも綺麗に決まる、というところかな。
枘は50mm以上伸びているので、強度は確かなものがある。
びんたこういう鬢太のようなところは面チリで納めることによって、綺麗にかつ手離れが良くなると言う技で、ボクは比較的多用する。
サスリ(=面一:ツライチ)で平滑にするという手もなくはないが、繊維を直交させる接合面でもあり、例え制作時に綺麗に納めても、いずれメチが出てくるもの。
木工ではこのように“納まり”ということについてはよく考えたいもの。
美質を備えながら、仕口加工における合理性追求の課題というものは、同時に叶えることができるという代表的な事例ではないか。
なお前脚は枠の上部まで貫通させているが、後ろ脚は途中で止めてある。
こちらの底部角のRは被せ部分のルーター切削の際にビットのRがそのまま残ったものであるが、鬢太の角をこのRに合わせ切削することでピタリと納まる。

*    *     *

クラシックファン、ピアノ好きな方に !
本日22:25より「グレン・グールド」最終回 (NHK教育)お見逃し無く !

《関連すると思われる記事》

                   
    

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.