工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木工用ドリル刃について その2

ドリル1
前回に続いてドリル刃について。
あらためて拡大画像(マクロ撮影のもの)を掲載しより詳しく解説する。

【画像1】
左はブラッドポイントとして製作されたドイツ製のドリル刃(5/8インチ)。
ツイストドリルの再研磨は、簡易な物だとハンドドリルなどにアタッチメントとして装填し、再研磨できるものなども市販されている。(BOSCH
しかし、このブラッドポイントの方だとそうしたものでは再研磨できないので自身でグラインダーで研磨するか、専門の職人にやってもらうということになる。

自身でやるというのも決して難度が高いというほどのものではない。あまり器用と思えないボクができるのだから誰でも可能。(画像右は自身で制作したもの)

グラインダーただ、そうした研磨に適合する砥石を入手しなければならない。これは専門店ではなくとも大型のホームセンターでも入手できるのではないだろうか。
砥石の形状は皿形になるが、ドリル刃のサイズによりいくつか用意したいところだが、うちでは1枚のものでやりくりしている。

残念ながらネット上ではブラッドポイント刃の研削、再研磨についての有益な情報は探し出せなかった。
すくい角、逃げ角などを考慮し、市販の物を参考にすれば手探りでもできるはず。
どなたか詳細情報お持ちでしたら、ご教示いただければありがたい。
toisi 砥石a
図はグラインダー砥石種類。
画像はうちで使用のもの(11/21追記)


ドリル2
【画像2】
《左》前回でも触れたが、2段錐。4×8 mmなので、3.5mmまでの木ねじに対応し、8mmのダボに対応するということで、比較的よく使われる。

どこで求めたかは昔のことなので確たる記憶がない。手元の資料では同様のドリルビットが「日立ツール3Sドリルとして掲載されているが、寸法がどうも丁度良いのが見あたらない。インチ仕様のようだ(ネット上に同カタログPDFがあった)

最近ホームセンターでも『産業機器総合カタログ』などというような分厚いカタログが置いてあり、まさに総合と冠するだけあってありとあらゆるものが納まっている感じだ。これに掲載されている物のほとんどが取り寄せできるようになってきている。価格も通常、掲載価格の70%位のようだ。

《中》自身で作成したブラッドポイント(8mm)

《右》一般に売られているHSS材の「皿取り錐」を定寸ダボ対応に研削し直したもの。
プロの研磨屋に依頼したものだ。
少し撮影角度が悪かったが、屑排出の溝を長く延長してもらっている。
先端はブラッドポイントに成形している。

ドリル3
【画像3】
ちょっと毛色の変わったドリル刃をいくつか紹介。

《左》ストッパー付きのドリル(8mm)
これは棚ダボなどの穴開けに用いる。いわゆる木工ドリルの刃形状に、ストッパーが設けられている。

《右》テーパープラグカッター
最近では国内の道具屋でも見かけるようになっているようだが、短い丸棒、いわゆるダボが挽き出せるカッターだ。ダボ形状が打ち込みやすいようにテーパーになっている。
これを使えば一般のダボのように板面に木口面を出さずに板目を出すことができる。つまり板面とほぼ同じ木目を探し出し、これから挽き出せばほとんど目立たなくさせることも可能だ。
他にも死に節を埋める場合などにも使えるだろう。

《中》プラグ&テノンカッター
同様にダボなどを挽き出すことができるカッターだが、こちらはかなり長い丸棒を取り出すことができる。
やり方によっては丸いほぞを成形することも可能。
プラグカッター同様、インチサイズが基本のようだが、3/8〜1″まで、数種類のサイズがある。

木工加工に用いられるドリルということでは他にもいくつか紹介したい物もあるが、今回はこれぐらいで…。

何か汚い刃物ばかり晒してしまって恥ずかしいね。本当を言えば、使ったら油を差して、キレイにして管理しておきましょう。
しかし良い工具を求めておけば、恐らくは一生物だ。油を注すなど、手入れ如何だけれど。(汗;)
こうしたものはあまりけちらずに少々高くても、信頼の於けるメーカーのものを求めておくというのが基本であろう。 ホームセンターなどでワゴンセールしているようなものは横目でスルーさせるだけにしよう。
そして自身で研磨技術も向上させ、快適な工具環境を整備しよう。

最後に数カ所、米国の木工関連グッズ通信販売の会社を紹介する。
Tools For Woodworking
WOODCRAFT
BRIDGE CITY TOOLS
(ここはスコヤを始めとする木工計測工具において芸術品のようなものを制作販売している)

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  • またまた貴重な情報をありがとうございます。
    しかし、う〜ん、むつかしそうですね。
    はたして僕に出来るだろうか?
    でもチャレンジしてなんとか手で覚えようと思います。
    その前に記事を何度も読み返し、理解を深めます。
    ひとつ教えていただきたいのですが、「砥石の形状は皿形」とのことですが、これは三角形状のとがった砥石のことでしょうか?

  • ブラッドポイントに仕立てるグラインダー砥石の形状ですが、ネット上で探そうと試みましたが、見あたりませんでした。
    あらためて記事内に砥石画像、および図を追加しましたので、参考にしてください。

  • 砥石のこと、どうもありがとうございました。
    さっそく参考にさせていただきます。

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