工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

機械、電動工具をその性能、品質から考える(海外との比較において)【その4】

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Lamelloの進化

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Lamelloとは、一般名称ではビスケットジョイナーと言われるマシン。
板の接合のためのビスケット状のダボを埋ける(いける=埋め込む)コンパクトなマシンですね。

Lamelloという名称は、このマシンを最初に開発(半世紀前)したメーカー名であるわけですが、ビスケットジョイナーの代表的なメーカーとして知られ、そのまま機械の名称として知れ渡っているというものです。

私も、起業後、間もなく導入した懐かしいマシンの1つなのですが、この四半世紀も前に導入したタイプは、今やClassicなどと命名されてしまっていますね。
つまりそのユーザーである私もクラシックってことですか。わぉ。
(・・・レジェンドと言って欲しい (-。-;)

Clamex P-14

Clamex P-14

その後、同機種ではめざましい進化を遂げたマシンを開発リリースしてきています。

その代表的な事例がZeta というマシンと、P System という新しいタイプのビスケットです。



まずビデオを。
【Lamello Zeta + P System by Lamello Belgium】

[youtube]http://youtu.be/PaqGq7zDWX8[/youtube]

これは、恐らくはDominoの開発に刺激を受け、Lamelloの基本機能に振動を加えることにより、ビスケットにロック機構を持たせることに繋がったものと考えられます。
(Dominoは他社の電動工具開発にも大きな刺激と影響を与えているというわけです)


あるいは次のような見方もできるでしょうか。
Festool社がDominoマシンを開発する企画というのは、これは明らかにLamelloというマシンが念頭にあったことは容易に想定されることです。

Lamelloにしても、その開発時点で存在したと考えられる、アングルグラインダーという機構が念頭にあり、その機構を大きく発展させ、全く別の機構を有するマシンへと変貌させたという想定もあながち無理な連想では無いと思います。

マシンの進化、発展というのは、既存のものが既にあり、これを別の目的を適えるマシンへと換骨奪胎させ、新たな世界を切り拓く、そうした営みの連続なのだろうと思います。

ただの焼き直しや、コスト削減だけを追求したようなケチな精神での開発では無く、先人が残した成果を、その時代の技術の成熟度に合わせ、新たな時代環境にふさわしく、あるいはユーザーの声を反映させつつ、未来を見据えた設計思想をそこに投下し、英知を集中させ、革新的なマシンを作り上げる。

ユーザーの驚きと、称賛の声を密かに狙い澄まし、選択と集中による資本と人的資源の投下によって為し得る大技を掛ける企業精神です。

そうした体質、フィロソフィーがあるかどうかで、機械メーカーへの信頼度は測られ、その結果、売り上げにも繋がり、メーカー経営の安定度も定まっていくわけです。

ただただ株価だけを会社経営の指標にするような現代社会では、ややもすると年度単位での利潤に目を奪われるものかも知れませんが、長期の展望に立って、どれだけ革新性のある、価値あるマシンを開発できるかの方がよほど大切なことは言うまでも無いでしょう。


なお、ご存じの通り、Lamelloの特許権が切れ、各社一斉に同機種を開発リリースし、日本国内でもマキタ、リョウビが商品化しています(リョウビは最近見掛けませんが)
この比較検討もしたいと思いますが、次回以降に回します。

FWW #235 Tool Test

FWW #235 Tool Test

なお、FWW誌では2013年8月、#235においてTool Testとして、このBiscuit Joinersが俎上にされています。なかなか興味深い評価内容です。
しかし、ユーザーの方々の印象とかけ離れたものではなく、納得のいくものではあるのですが。
詳しくは別項で。

【参考資料】
■ Lamello 公式サイト

なお画像はLamello社提供のものです。感謝します。
本稿 続く
次回は日本国内の状況を見ていきます

hr

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