工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

BOSCH 電動工具 10.8V シリーズ(その2)

BOSCH 10.8Vシリーズ

BOSCH10.8V バッテリー駆動の電動工具のラインナップは上図のようです。

ご覧になってお判りのように、特徴的なのは、図中〈1、ネジ締め・穴あけ、〉などは他のメーカーにおいても、一般的に普及しているジャンルといえます。
マキタの10.8Vバッテリーも、BOSCHのものと互換性は無いものの、近似したサイズと形状で、BOSCHの小型インパクトドライバー同様の商品があります。

一方、〈2、研削・研磨〉〈3、切断・切削〉の分野は、BOSCHならではの展開で、ここに大きな特徴が観られます。

もちろん、電圧を14.4V、18Vへと昇圧させれば、他メーカーもこれらのジャンルの機種も充実させてくるのですが、
10.8Vの分野に限っては、BOSCHの充実ぶりは群を抜いていることがお分かりかと思います。

しかも 10.8Vとはいえ、グリーンボデーのDIY用では無く、プロフェショナル仕様のブルーボデーであるところ8にもその位置づけの確かさを感じ取ることができます。

この違いは何なのかなと考えるわけですが…、
1つには現場作業における作業員の負荷を軽減させるため、電動工具の機能性、作業能率を重視しつつも、人間工学的視点から極力軽快で作業しやすいマシンを開発していこうとの理念を感じ取ることができます。

前回の投稿にコメントを頂いた佐々木氏の指摘もここにありましたね。

あるいはBOCH以外のメーカーの開発理念としては、10.8Vの分野は重きを置かず、端から開発への意思は希薄との位置づけと言えるのかも知れません。

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ハンガン(漢江、Han Kang)さんへのノーベル文学賞が意味するもの

10日、ノーベル賞授賞式が執り行われる ストックホルム・コンサートホール

アルフレッド·ノーベルの命日である12月10日、ストックホルム・コンサートホールでノーベル文学賞の授賞式が執り行われる。
アジアの女性として初のノーベル文学賞の栄誉を授かるのが ハンガン(漢江Han Kang)さん。

既に数日前からストックホルム入りされていたとみえ、日本時間、6日の夜、スウェーデンアカデミー(ノーベル文学賞の選考を兼ねる国立の学士院)においてメディア向けのカンファレンスが行われ、これが世界にLive中継されており、私も少しYouTubeでLive視聴した。

日本国内の一部のメディアでもストレートニュースとしてこれが報じられたのは、他でも無く直前の3日の夜半に尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣布し、その6時間後には慌ただしくもこれが解除されるという、風雲急を告げる状況となり、ソウルで日々執筆を行っている彼女の発言に注目がいくのも当然というわけだ。

ストックホルムに向かう前、ソウルの自邸で小説執筆の手を休め、ノーベル文学賞受賞スピーチ原稿を書き、推敲を重ね、授賞スピーチへと準備万端でいたものと思う。

しかしこの原稿は、自国が動乱のただ中にあるところから修正を余儀なくされ、ストックホルムのホテルの小部屋では授賞式を前にした高揚感は失せ、遠くソウル国会前の刻々と変わる+緊迫した動静を気に掛けながら、冷や汗搔き搔きの執筆だったに違いない。

元の受賞スピーチ原稿では近代韓国の文学の営為から、ご自身の文学への関わり、小説のテーマであったり、スウェーデンアカデミーが受賞理由とした、詩的な作風への思いなどとともに、
4.3済州島事件、光州民主化運動とそれへの弾圧など、圧倒的な暴政の下で、蔑ろにされる人の命への尊厳と悼み、悲しみ、そしてその下で生きていく韓国の人々の強さなどを、現在進行するウクライナへのロシアの軍事侵攻、さらにはイスラエルによるガザへのジェノサイドへの苦悩という現実に照らし合わせ、思考を深めるといった言及もあったのではと勝手に想像してしまうのだが、これは間違っている所為だろうか。

朝日新聞12月6日 デジタル版より(記事はこちら
『そっと 静かに』から

これは今に生きる文学者として避けては通れない命題であるからという一般的な了解もあるだろうし、さらにはそこを越え、彼女自身、エルサレムに住むパレスチナの詩人、作家であるマフムード・シュカイルと親しく交流していたようで(『そっと 静かに』の中で一章設けられ、語られている事柄だ)、

生存さえ危うい過酷な状況下に置かれた、年上の友の事を考えれば、世界有数の軍事力を誇るイスラエルによる暴政とその下で生きる か弱き人の命のもろさというものを大きなテーマとして描いてきた文学者として、まさに差し迫った問題として言及するであろうと、ある種の確信めいたものさえあったからね。

事実、スウェーデンアカデミーが2024年のノーベル文学賞をHan Kang氏に授与すると発表された際、彼女は周囲の求めに応ずること無く、受賞会見を拒むという態度を取っている。

その理由が世界の状況(ウクライナ、ガザの過酷な現状)から、「今すぐスポットライトを浴びたくはないです、私は静かにしていたい。世界に多くの苦痛があり、私たちはもう少し静かにしていなければなりません」と応答したと伝えられている。

ここに漢江氏の文学する根幹の一端が垣間見られるように感じたものだ。
暴政に打ちひしげられる人々に強く共振し、これを自身の人間的な感性として受け止め、学び、鍛え、そして創作への源へと昇華させていこうとする態度。

しかも、何とあろうことか、彼女の大作『少年が来る』では、1980年の光州事件をテーマに描いており、3日夜半の尹大統領の「非常戒厳」は、まさにこの光州事件を彷彿とさせる軍政による民主主義の圧殺であって、このあまりのリンクに漢江さんは身震いしたに違いなく、いつ止むとも知らないガザの惨憺たる状況への懸念とともに、自国の現在進行形の危機的状況に頭を抱え込み、スピーチ原稿への手直しも容易では無かったのでは。

このノーベル文学賞受賞理由として、スウェーデンアカデミーは
「作品のなかで、過去のトラウマや、目には見えない一連の縛りと向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにした。
彼女は肉体と精神のつながり、生ける者と死者のつながりに対して独特の意識を持っており、詩的かつ実験的な文体で、現代の散文における革新者となった」
と讃えている。

昨夜12月6日、授賞式を前にしたスウェーデンアカデミーでの記者会見において、彼女はこの自国の動乱に驚天動地の思いに追いやられ、穏やかならざる精神状態に陥っただろうことも想像に難くない中、スウェーデンの伝統的な美しい椅子に、シンプルで清楚な黒づくめの出で立ちで腰掛け、尊敬の眼差しと意地悪な顔を持つ各国記者を前に、いつものように静かに言葉を紡ぎ、しっかりと受け答えしている印象だった。

そうは言っても胸中の穏やかならざる不安と苦悩を押し隠しているのだろうなとの緊張感も感じ取れ、いつもの笑顔は少なく、1時間余りで会場を足早に立ち去っている。

(下の画像は記者会見で見せてくれた照れ笑いというのか、柔らかな笑顔があったので、スクショ。
彼女のインタビュー映像を観る限り、世界的に評価されている大作家でありながら、語り口はとても静か。威圧する雰囲気はまったくなく、屈託無く笑うところからも好印象を与えてくれる)

12月6日 スウェーデンアカデミーでの記者会見より(YouTubeスクショ)

今深夜 行われるというノーベル賞博物館での講演が楽しみ。
YouTubeで Live配信が行われます。(こちらから)
日本時間、8日 0時からです
(次は、読み進めている漢江氏の著書についても触れていければと思う)

BOSCH 電動工具 10.8V シリーズ

リチウムイオン二次電池(概論)

BOSCH 10.8Vシリーズ

木工関連の電動工具では、既に多くのものがコードレス化されていますが、その中にあって今回の Li-ion 10.8V の位置づけ、意味合いなどを少しく考えてみましょう。

電動工具のコードレス化は私が木工を始めた80年代末あたりからでした。

ニッケル・カドミウム電池(Ni-Cd)

Ni-Cd
Ni-MH
Ni-Cd とNi-MH

ただ、当時は電源となる二次電池・バッテリーはニッケル・カドミウム電池(Ni-Cd)で、公称電圧が1.2Vと、乾電池よりも低く、パワーを要求される工具には不向きで、実用性のあるのはせいぜいドリルドライバーなどの限定的なものでしかなく、しかも言ってしまえば玩具のレベル。

ニッケル水素電池(Ni-MH)

その後、1990年代に入りますと、市場では小型電子機器が急速に普及していくことになりますが、これは公称電圧がNi-Cdと同じ1.2Vではあるものの、エネルギー密度を大きく向上させた、ニッケル水素電池(Ni-MH)の量産化によるところが大きかったのです。

電動工具にもこのNi-MH電池が搭載されていくことになります。
私もさっそくNi-MH電池の開発製造メーカーでもあったパナソニックのドライバードリルを購入したものでした。

それまでは〈ヤンキー〉と呼ばれる、上下運動を回転運動に変換するハンディなドライバーを使うか、電動ドリルにドライバーの先端ビットを取り付けて作業していましたので、このコードレスの電動工具の登場は木工現場において大いに歓迎されたものです。

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〈iOS 18.1〉+〈AirPods Pro 2〉ヒアリング補助を使う(その2:追記あり 24/11/26)

邦画鑑賞、他の観客と一緒に笑い …

拳と祈り —袴田巖の生涯—』を観ました。

9月26日、再審無罪判決を勝ち取った、袴田巖さんと、姉 秀子さんの日常を追う、ドキュメンタリー映画です。

今回、映画では初めて AirPods Pro 2 を使い、映画観賞におけるヒアリング補助機能の効果は大いにあることが確認されました。

これまでは洋画4に対し、邦画1ほどの比率でしたが、今後は洋画3に邦画2ほどになるかも知れませんね。
日本の映画人の皆さん、良い映画をどんどん作って欲しいですよ。

映画観賞ですので2時間前後の長時間に亘る装着になりますが、さほど違和感も無く耳の痛みも無いです(劇場内では普段はしないウイルス防護のためのマスクを装着することになりますが、こちらの方が耳が痛い)。

ただ1つ、指摘するとすれば、高音域が過度に強調される感じが拭えないのです。
これまで聞こえていなかった領域の周波数帯が聞こえることとなり、聴覚の違和感によるものなのかもしれません。
「慣れ」の問題も大きいと思われ、しばらく様子見しましょう。

本格的な補聴器では、こうした違和感のある部分での微調整も可能と思われますが、
現在の iOS 18.1.1 では、音量増幅のコントロールは容易にできるものの、
周波数帯域ごとの微調整はできないのです。

なお必要とすれば、ヒアリングチェックを繰り返し、もっとも適合するオージオグラムを作る、ということでしょうか。
本件、Appleカスタマーセンターの〈ヘルスケア〉部門のスタッフとやりとりしたのですが、
これ以上の対処策は無いようです。

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〈iOS 18.1〉+〈AirPods Pro 2〉ヒアリング補助を使う

AirPods Pro 2
臨床グレードのヒアリング補助

映画鑑賞の困難

皆さん、映画は観ていますか?

私の思考、嗜好、志向は、ほぼ映画から学んだものと言ってもあながち間違いでは無いほどの依存体質 😅

ここ数年は年間、20〜30本ほどは観ているでしょうか。
映画好きとしては決して多くは無い本数かもしれない。
観たい映画があっても職業人であることから観に行けずホゾを噛むこと屡々。

今では、公開数ヶ月後にはネット配信で観ることができるタイトルのものもありますので、時間が許せば サブスク・Amazon PrimeApple TV+ で探し、カウチポテトで視聴という、ありがたい時代ではあります(シネコンで良く見掛ける、あのポップコーン+ドリンク ってのは、他の鑑賞者に嗅覚、聴覚を奪うことになるので一切しませんよ、私は…)。

ところで、鑑賞する映画のジャンルですが、専ら洋画。
観たい邦画があっても、ある理由から足が向かないのです。
哀しきかな、難聴による視聴の困難さを抱える身だからです。

多くの観客が笑ったりするシーンがあるじゃないですか。
でも私には難聴気味であるところから台詞が聴き取れず、筋が追えず、皆と一緒に笑うことができない。
一人 取り残されか感が強く、これはキツイですよ。

したがって観る映画も、字幕があり、筋が追える洋画になってしまう。


この私の難聴ですが、その原因は他でも無く木工機械が発する騒音によるものでしょう。
難聴の程度ですが、日常会話、TV、ラジオの視聴、音楽鑑賞などではさほど大きな問題となることは無く、いわば中等程度の難聴なのですが、これが映画鑑賞では決定的な問題になってしまうのです。

因みに、映画鑑賞でも求められる必須要件の視力の方はまったく問題ありません。
何せ、木工で求められる、スケール1mmの1/10 ほどの識別まで、裸眼でOK!ですからね(映画スクリーンと、至近距離とでは、比較対照にはならんですって?、ま、細かいことはともかくも…苦笑)。
私の年齢でそんな人は希かも知れず、これはホントありがたいです。
いちいち付けたり外したりと、老眼鏡依存は相当のストレスでしょう。
まさか、視力の良さとのトレードオフによる難聴ってことも無いとは思いますが…?😓

iPhone、iOS18.1 による聴力補助システムの提供

話しを本題に戻しましょう。
こんな難聴の私に朗報が届いたのですよ。ありがたいですね。
Apple社の iPhone、iOS 18.1 による聴力補助システムの提供が始まったのです。

WHOによれば世界の約15億人が難聴を抱え、厚労省では日本人の約10%近い1430万人が難聴を患っているというデータがあるとのことで、これらの人々にとって大きな朗報と言えるでしょう。

難聴は聞こえずらいことからくる日常生活における対人コミュニケーションの不全、外部からの大事な情報取得を阻害されるなどの問題の他、認知症発症のリスクを高めるという研究結果もあるそうで、私など、その予備軍ですからね 😓

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BOSCH コードレスサンダー GSS12V-40

BOSCH コードレスサンダー GSS12V-40

BOSCHのコードレスサンダーでは、数年前〈コードレス吸じんランダムアクションサンダー〉という機種を導入していたのですが、
今回、回転駆動ではなく、長形の〈オービタルサンダー〉が市場投入されていることに気付き、導入。(Top画像:BOSCH公式サイトから拝借)

電源はランダムアクションサンダーと同じく、10.8VのLi-ionバッテリーです。
この機種は米国内で販売されているもので、例によってボルト数値は日本のものと異なっています。

〈GSS12V-40N〉の12VはMaxの電圧です(BOSCH日本法人による表記、10.8Vは公称、つまりLi-ion、1セル、3.6Vの3本が直列に構成され、定格電圧は10.8Vということです)。
なお、40Nの表記が意味するところですが、4Aでの充放電、と解釈、つまり消費電力は43Wということになります。

前回〈ランダムアクションサンダー〉の導入の際も、この10.8Vという、一見、非力なイメージを与え半信半疑での導入でしたが、あにはからんや、その十分な威力に無知を教えられたところでしたので、そうした懸念は頭から排除させ、期待を持ってポチっしたのでした。

結果、期待通りのパワーと、品質の高さに脱帽。

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クラロウォールナット 小卓

クラロウォールナット

異形のテーブルです。

木に少しでもお詳しい方であればお気づきのことと思いますが、
原木丸太から製材された板の、隣り合わせのものを左右に展開し、結合させたもので、
いわゆる“ブックマッチ”という手法で構成された甲板です。

ただフツーの材木では無いがため、このような異形になってしまった、
と言うか、この異形を異形として味わい、活かす試みです。

フツーで無いというのは、
まずはこの形状であり、そして特有の木理、あるいは色調ですね。

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BESSEY ボディクランプ KRE(その2)

bessey K Body REVO
BESSEY K Body REVO カタログから

BESSEY ボディクランプ ストレージ

BESSEY ボディクランプ ストレージ
BESSEY ボディクランプ ストレージ

今回、〈BESSEY ボディクランプ KRE〉導入に合わせ、専用ストレージを作りました。
旧型、2mのものを除く4本と、新規導入のKRE、1mもの、4本、あわせ8本をコンパクト、スマートに収納するものです。

うちの工房建て屋の骨組みは〈250×125 9t〉という、頑固なH鋼が巡っており、手作業場に設置したワークベンチ近くの、このH鋼の柱の2辺に矧ぎ専用のクランプ、0.6m〜1.2mまで3種・20本ほどをぶら下げていて、この残りの1辺に新たに BESSEY ボディクランプ ストレージ を設置。

スマートな納まりです。

これはネットから拾った画像を参照に、28mm構造合板でチャチャッと作りました。
H鋼 9t に、固定のためのボルト孔を穿孔させるのはメチャクチャ大変だったけれど…。

画像、(左から)

  • 旧 K ボディクランプ 4本
  • KRE ボディクランプ 4本
  • 黒い奴が矧ぎ専用クランプ、1mもの10本
  • 梁のH鋼、最上部に 旧型2mのボディクランプを2本
  •  (裏側に1.2mが4本、60cmが4本)
  • 白いアルミレールは、丸ノコ専用フェンス
  • 右の低い位置のものは各種クランプストレージ(キャスター付きの可搬式)

旧 K ボディクランプ6本のうち、顎部分が正常なのは2本しか残っていませんが、前回も触れたように、新規の KRE の顎を代替装着すれば問題無く使えますし、もちろん改良された機能が備わる、ということでもあります。

KRE型の新奇性について

さて、ここからが KRE(K型のRevolution)の解説です。

〈新奇性〉とは言っても、市場に出回り、既にかなりの年数が経過しますので、少しおかしな物言いではありますが、旧型と較べて、といった意味合いですので、突っ込み入れないでくださいね。

旧型と、このKRE、基本的な機構に変わりはありませんが、いくつかのところで明かな進化を見せてくれています。

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BESSEY ボディクランプ KRE

はじめに

BESSEY〈K ボディクランプ〉を更新しました。36年ぶりですよ。
現在、このBESSEYの ボディクランプ を使っていらっしゃる方はかなり多いのではないでしょうか。

詳しくは分かりませんが、このボディクランプ K というクラシックなタイプから KRE に更新され、かなりの年数を経ているものと思われますが、現在、市場で流通している〈ボデディクランプ KRE〉は2018年以降のもののようです。

それ以前の〈KRE〉は固定ヘッド部分の2本のピン周囲の部分に製造上の問題があり、レールに対する顎のカネ(90度)が崩れてしまう傾向にあったようですが、基本的な機能、性能等は変わらないと考えても良いでしょう。

名称 〈KRE〉について

36年間、私が使ってきたボディクランプは〈K Body clamp〉と呼称されてきたものですが、この〈K Body clamp〉〈Revolution〉という名称を付加させ、その頭文字を取り〈KRE〉としたようです。

さて、この〈Revolution〉なるものが、どのような革新性を指すのかを読み解いていきたいと思いますが、進化の詳細を紹介する前に、この更新に至る経緯を少しくお話しさせていただきます。

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カーリーメイプルの ジュエリー チェスト(その4)

トール ベース

ジュエリーチェスト

このジュエリーチェストを載せるベースですが、500mmほどのWideに対し、甲板まで950mmの高さがあることから、“トールベース”と表記。

これはジュエリーチェスト、収納部へのアプローチに手頃な高さからのものです。

全体のバランスからしてやや重心が高くなりますが、これはこれで、スタイリッシュなプロポーションではあると思うのですが、如何でしょう。

脚部などに独自の意匠も視られますので、その辺りを中心にご紹介します。

構成

4本脚のトールキャビネット

  • 左右帆立の側板、背板などは1枚の無垢板
  • 正面は1,500Rの円弧状の棚口2本。
  • 底板
  • 甲板は脚部意匠に相似形に成型され、駒留め
  • 抽斗はフルトラベルの機構を有するスライドレール方式

脚部、および 抽斗収納部

42×60mmの断面を持つカーリーメイプル材を、テリ脚に成型。
この工程の前段階、脚部は45度に捻る形の意匠にしますので、そのための胴付き面を成型確保する必要があります。

つまり、帆立側と棚口側、および背板側の枘が挿入される胴付き面を獲得すべく、42×60mmの平角材の2面を45度に切削しつつ、同時に全体をテリ脚に成型していきます。
当然ですが、テリ脚とは言え、抽斗がくる部分の胴付き面はあくまでも平滑面として残し、残余の下部を成型していきます。

次いで、これら胴付き面の逆側に、20度の角面を獲得します。
この結果、断面で視れば、7角形になります。

このように45度に捻りつつ、対面にはエッジをもたらす面取りを施していくわけですが、これはテリ脚のプロポーションにより豊かな表情をもたらすための手法です。

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