工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

突き鉋

突き鉋というものがある。
1年に何回使うだろうか?、というほどに使用頻度の低い鉋だが、
しかし無いと困る。

今回は“被せ”の抽出の仕込み工程で、側板を削らねばならず、この突き鉋にご登場いただく。

こんな面倒くさいことをしたくなければ、もっとAboutな仕込みにすれば良い。
でもね、やはり丁寧できちんとした仕事がうちの仕様なので、これしきのことは受忍する。

そうは言っても、一鉋、二鉋、程度の微調整なので、面倒というほどのものでは無い。

側板には普段は桂、シナノなどの軟材を用いるところ、今回は何を血迷ったか、ミズメ樺の105mm角を取りだし、これを本柾方向で18mmで割き、木取った。

9尺ほどもあるミズメの角材が、俺はいつになったら使ってもらえるのさ、と愁訴している気がしたんだね。

広葉樹の中でも特に硬質な部類に入るミズメなので鉋掛けも大変だろうとと思ったが、素直な本柾であったためか、意外とサクッと仕上がった。

ただやたらと重い。それだけでミズメ採用を悔いたものだが、しかしこれも緩からず、堅からず、の調子で仕込めば、出し入れの調子は軽快だ。

下の画像は、同じ突き鉋でも極小サイズと、米国製。
このネズミのような米国製は東西工具考ということで、試しに入手しただけだったが、日本の鉋に慣れ親しんでいる者からすればおもちゃのようなもの。
推奨できるものではない。

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  • 大きい方は時々使っていますが、下に写っている小さい
    タイプは市販品はなかなか見つからないですね。
    昔、東急ハンズで見かけた事がありますが、その後見つかりません。

    • acanthogobiusさんも使っていらっしゃる !
      さすがですね。

      >小さいタイプ・・・昔、東急ハンズで見かけた
      恐らくは平出商店扱いのものだったのでは。

      先日お会いし、ハンズ展開の話にも及んだのですが、
      売れ行きも伸びず、諸般の条件の厳しさで、
      基本、撤退とのことでした

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