工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ルーターのフェンスを更新

ルーターマシンのフェンス
ルーターマシン

うちでは大型機械のルーターマシン、いわゆるピンルーターを起業時より導入し、これなくしては仕事にならないほどに依存しています。

今回のルーターフェンスの話しですが、現在使っているのは導入時に作ったもので、1年に1度、平滑性の調整のため、手押し鉋盤を軽く通す程度でこれまで長らく使い続けてきたのですが、

ネット販売のサイトを渉猟中、木工用フェンスに特化したアルミ製のL字型チャンネルが目に飛び込み、胸の高まりを覚え、思わずプチッ。😓
これをベースに新たなフェンスを作ってみようと思い立った次第。

L字型 Tスロット トラック

L字型 Tスロット トラック
L字型 Tスロット トラック

右図がその断面。
フェンス面、75mmという高さは、目的のルーターフェンスとして手頃なものですが、定盤接地面の35mmという幅はやや心許ないのは否めません。
長さは数種あり、1mのものを選ぶ。

ご覧のように、こうしたアルミ鋼材はT字スロットが施されているのが1つの特徴で、拡張性が高くなっています。

ただルーター用のフェンスの場合、このままでは中央部分にあたるところにくる主軸部分のルータービットが干渉しますので、このアルミフェンスに左右、独立した木製のサブフェンスを結合させ、中央部の主軸に対し、開口部を任意にセットするための加工が必要となってきます。

これらのフェンスとサブフェンスの接合には、本体のT字スロットが活きてくるのは言うまでもありません。
ビットの大きさに対応させ、広く、狭く、開口部を任意な幅にセットできるような設計が求められます。

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ミズナラのベッド

ベッド

ご覧の通り、シンプルなデザインのベッドです。
私に制作依頼されたオーナーはデザインはもちろんですが、無垢材を用いたハンドメイドの家具への強い拘りを持つ方で、お話を受け、着工までは半年を超えるやりとりが繰り返され、今回、制作を終え、納品へと漕ぎ着けた時は、感慨一入でした。

長年、木工屋をやってきましたが、実はベッド制作の機会は数えるほどしかなく、公式Webサイトに掲載したのはその中の1件のみ。

真正マホガニーによる天蓋付きのベッド

これは当時、親しくしていただいていた著名な陶芸家からの依頼でした。

廃業する家具会社から譲って頂いたホンジョラス産のマホガニーをふんだんに用い制作した若い頃の仕事で、精一杯作らせていただいた渾身の作です。
ヘッドボード中央のダークな色調のものはクラロウォールナットです。
マホガニー 4Post ベッド。この画像は亡くなられた陶芸家から譲り受けたお宅に設置されたもの)。

さて、今回 用いた材種ですが、当初はブラックチェリーで考えていたのでしたが、工房のギャラリーに展示されている家具や、在庫の木材をご覧になっていただいた結果、迷われた末に選ばれたのはミズナラでした。

ミズナラ 柾目材

2mの長さのサイドレールには7年ほど前、柾目に製材したミズナラを。

そして、20年ほど昔、地元の大手製紙会社から購入を持ちかけられた、南アルプス産、1m越えのミズナラ材をヘッド、フットボードのパネルに(上の画像がそれ)。
これは本柾で400mm幅という、かなり贅沢な木取りになります。

ところで、楢材は家具材として良質の評価は定着しているわけですが、反りやすいというのが欠点。
そうした特性があるところから、楢材の場合、一般には反りにくい柾目で製材します。
芯持ちの板目で製材しますと、乾燥過程において間違い無く大きく反り、歩留まりも悪く、具合良くありません。
柾目製材であれば、こうした反りを防ぐことができます。

ただ、楢材の柾目は、板面に髄線が斑として表出されてしまう(虎斑/トラフ)ことは知っての通り。
家具市場では、こうした楢材固有の斑を嫌う傾向があることも事実のようです。

因みに、オーク家具で有名な英国のトラディショナルな家具の場合、あえてこの虎斑を前面に押し出し、意匠の特性の1つとすることもあるわけですが、この材種の物理的特性と、虎斑という木理が醸す表情を積極的、合理的に評価した結果としての活用と言えるかも知れませんね。

今回は、発注者との合意を得た上で、この虎斑をあえて活かした木取りにしました。

ベッド(+ウッドスプリング)
ベッドにウッドスプリングをセット
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FESTOOL 8mm プランジルーター OF 1010 R

FESTOOL Router OF 1010 R
Festool Router  OF 1010 R

はじめに

FESTOOLの仲間が1つやってきました。
8mmチャックのプランジルーター、OF 1010 R です。

この機種名ですが、実はかなり古くからあったかと記憶しているのですが、現行品はそのメジャー更新版になります。

この機種名の〈1010〉とは消費電力、つまりマシンのパワーを示すもので、そこは変えずにユーザビリティの高度化を図ったものと考えて良いでしょう。
ユーザビリティ、カタカナ文字の使用もほどほどにすべきですが、ようするに作業者の使い勝手を向上させるべく、様々にブラッシュアップさせた再設計で市場に投入されたもののようです。

現在、メーカー公式サイトでは、この新たな機種〈OF 1010 R〉に切り替わっているわけですが、実は市場には旧いタイプのものも流通しているようですので、購入の際は注意しましょう。

また、旧型の中古品も市場に出回っているようですが、中には詐欺サイトと思しきものも散見され、くれぐれも注意なさってください。

(私はUSA Amazonで購入したのですが、このUSA Amazonでは商品名の表記が新旧まぜこぜで混乱状態にあり、プチッした直後、果たして目的の改良版が届くのかどうか、不安で仕方なかったです。後述)

仕様

以下、スペックの確認を手掛かりに、作業者の視点からの評価を加えつつ、紹介していきます。

項目OF 1010 R(新型)OF 1010 EQ(旧型)
消費電力1010 w(8.5A)1010 w(8.5A)
速度(rpm)6,500 - 26,00010,000 - 24,000
コレット 6 、1/4"、8 mm 6 、1/4"、8 mm
ストローク(mm)5555
プランジ深さ微調整範囲(mm)88
ダストホース接続(mm)27/3627
重量(Kg)32.7

スペック上は新旧の大きな変更はほぼ無いと考えて良いようです。

では以下、具体的に視ていきます

消費電力

機種名の〈OF 1010 R 〉の1010ですが、上述の通り消費電力を示し、この機種のパワーを表すものでもあります。

FESTOOL社では、現在ハンドルーターのシリーズとして、3機種の製造販売を行っています。
Router OF 2200
▼ Router OF 1400
Router OF 1010

FESTOOL ハンドルーター シリーズ
FESTOOL ハンドルーター シリーズ

それぞれ、商品名の後段の数値は消費電力=パワーを示すものとなっている事がお判りかと思います。分かりやすいですね。

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イスラエルの狂気を なぜ世界は止められない

「イエス・キリスト生誕の地、ベツレヘムでクリスマス行事中止」(朝日新聞)

今日はクリスマスイブの12月24日。
新約聖書ではキリスト生誕の日とされ、現在のヨルダン川西岸、パレスチナ自治区に位置するベツレヘムで生誕したとの記述がある。
例年、ベツレヘム聖誕教会には多くの信者が集い、クリスマスミサを執り行い、祝うのがならわしだが、今年、ベツレヘム当局は「殉教者に敬意を示し、ガザの人々に連帯を示す」として、クリスマスの関連行事をすべて中止した。
また、教会内に崩落するガザに見立てたガレキを設え、ここにイエス・キリスト生誕をなぞらえている。

凄惨な状況のガザ、これこそジェノサイド

そのガザではどうだろうか。
Xmasを祝うどころか、侵略軍イスラエルによるガザ攻撃から10週が経過し、丸腰のガザ市民、2万人が虐殺され、今も数千人が空爆により倒壊したガレキに埋もれた状態に捨て置かれたママだと言われる。

生き延びた人とて、水も、電気も、ガスも、医薬品も、食糧品も絶たれ、レトリックでは無く、字義通りの飢餓状態にあり、明日に命を繫げられるかの確信など何も無い状況。

外部世界に開ける唯一のラファ検問所を通し、生命維持に必要な物資がかろうじて運び込まれているようだが、搬入されるそのトラックの荷台に殺到するガザの若者の混乱ぶりからは、絶望を越えた人間の素の姿を晒すようでいたたまれず眼を背けてしまう。

Xmasを境とし、イスラエルからの空爆も、侵攻していたイスラエルの戦車などからの砲撃による犠牲もますます増加の一途のようで、こうした殺戮に加え、銃砲が突きつけられた状況での南部への強制移動により、210万人と言われるガザ市民の8割を超える人々が難民化すると言う暴虐は、80年前のナチスのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)により定義づけられた、ジェノサイド(民族的集団の一部、あるいは全部を破壊する意図を持って行われる他の集団による殺戮)と言わずして、何と形容すべきなのか知らない。
その攻撃者はホロコーストの犠牲者であったはずのシオニストが統治するイスラエルだ。


80年前のナチス・ヒトラーから受けた残虐を、踵を返し、同じ事をやっている。

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古民家 解体材による、松材のベンチ

築100年の古民家を解体するにあたり、これらの古材から家具へと再生して欲しい旨の依頼があり、
いくつかの設計を終え、進めているところです。

古材は、ケヤキの9寸角大黒柱が1本、そして松材の桁、数枚。

大黒柱についてはオーナーの子女らがテーブルとして再生させたいとの要望があり、設計を進めているところ。

桁材は、オーナーの希望から書棚と、ベンチに再生。
書棚は既に制作を終え、納品済み。(下)

今回紹介するのはベンチ。
桁材は2間半ものの長さがありますが、設置場所の制約から二人掛けの 1.4mという小ぶりのものに。

この桁材は1尺2寸幅の立派な古材で、幅一杯に取りたかったものの辺材に虫害があり、
止む無く、1尺1寸ほどの仕上がりに。
矧いで広くしましょうと提案したモノの、そのままで構わない、との意向を示され、このままで。

設計、意匠

針葉樹ですので、小細工は避け、意匠はシンプルに。針葉樹のリニアな木理をそのまま活かし、
小振りながらも、重厚なイメージでいこうと考えました。

桁の厚みは2寸強ほどありましたが、裏側はモルタル様のものが付着していたため、これらを除去し、1.8寸、54mmほどの厚みに。
脚部は3.5寸ほどの厚みの材がありましたが、このままでは厚すぎるので、座板とのバランスから、2.3寸、70mmほどの厚みにカット。

54mmの座板と、70mmの脚部の結合は、見付を留めとする天秤差しで。
また中央部に1.2寸 × 2.5寸ほどの貫を脚部貫通させ固めることに

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家具の組み上げ(その4)

框モノの仕上げ削りについて

モノ作り、とりわけ、手仕事の技能というものは、もちろん個々の能力差もありますが、それ以上に、経験値の差が大きいと言うことは、当事者であれば誰しもが身に染みて感じるところでは無いでしょうか。

この記事の〈框モノの仕上げ削り〉についても同様、熟練を獲得するごとに体得され、やがては鉋の手捌きの上達とともに自家薬朗中のものとなり、身体的に獲得されたそれらのものも合目的的で論理的なものへと還元され、深く脳髄に刻み込まれていくもののようです。

さて、〈框モノの仕上げ削り〉ですが、既にこれまで述べてきたように正しく、合目的的な組み上げが為されたものは、比較的容易に行うことができるものです。

これとは逆に、歪んだ状態、平滑性が取れない状態のままに組み上げたものは、この仕上げ段階で大いに苦労することになります。

さらにこれに加え、多くの場合、所定の厚みに仕上がらず薄くなってしまい、設計通りにはいかなくなってしまうでしょう。

それだけに、この工程を正しく精緻に行い、欠損を極力少なくすることが重要となってきます。

上図は框組みにおける仕上げ削りの模式図です。

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家具の組み上げ(その3)

いわゆる帆立(側板)、枠モノの組み立てでは、枘穴、枘へのボンド塗布の後、これらを差し込み、そして圧締していくことになりますが、この圧締方法も前回触れた歪み、ズレを補正させ、平滑性を確保する上で大変重要です。

さて、組み上げ工程で重要な事柄はいくつもありますが、筆頭に上げるべきは、カネに組み上げることです。
これはあまりにも基本的な事柄ですので、その必要性についての詳細な説明は不要でしょう。

上図 A.は組み立て工程の模式図です。

枘穴、枘、それぞれに必要にして十分なボンドを塗布し、
縦框側に当て木を当て、上下、裏表、計4本のハタガネで圧締を加えているところです。
例えば、ホゾを差し込み、その時点でカネが取れているのであれば、図版のように横框と平行するようなハタガネを配置し締めていきます。

カネの補正

スコヤ、あるいは、対角線上の距離でカネを確認することができます。
もし、カネが歪んでいた場合は以下のような補正の方法があります。

簡便な方法としては、鋭角になってしまっている角をワークベンチ板面に置き、対角線上の角を木槌で叩くなどして、修正することができます。

次に、圧締を加える工程で補正することができます。
図版 B.のように、この歪みを正す方向へと圧締力を掛けるようにします。
こうしてハタガネを当てる左右の位置を変えることで、いくらでも補正は可能となります。

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家具の組み上げ(その2)

箱物の組み立ての基本

「箱物の組み立ての基本」と題しましたが、前回お話しさせていただいたように、まず大事な事は、立体を構成する主要なエレメンツの1つである、平面体の組み立てです。

框組み
一般的な框組み(イメージ)

一般的な框組みの箱物家具の場合であれば、〈帆立〉、〈側板〉などと呼称される家具の側面部分がそれですね。
上図はその代表的な事例。
このまま扉などとして使える構造体ですが、箱物の場合、これが帆立(側板)になるということです。

上図にあるように、この〈帆立〉は縦框、横框、貫、束、鏡板、といった部品で構成されます。

全体の加工の流れとしては
① 木取り
② 縦框に横框、貫などを接合させるための枘穴を穿つ
③ 横框、貫などに枘を付ける
④ 横框に必要に応じ、束の枘穴を穿つ
⑤ 縦框、横框、貫に鏡板の小孔(溝)、あるいは段欠きを施す
⑥ 全ての部品に必要に応じ、面を取る
⑦ 全ての部品にカンナを掛け、素地調整する
⑧ 組み上げる

といったところでしょうか。

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家具の組み上げ

画像はYouTubeで流れていた、一シーンのスクショです。(今はなぜか、削除されているようですが…、)

カナダにある Fine Woodworking 職人養成学校のプログラムの1つのようです。
このWebサイトは古くから知ってはいたものの、1年に1回アクセスするかどうかといったところでしたが、このYouTubeのシーンに目が留まったのは、ワケがあります。

ご覧のようにKrenov調のオープンな構造体、いわゆる箱物の組み立て作業の渦中です。

目が留まったのは、この組み立て方法。
家具制作に携わっている人であれば、直感的に顔をしかめた方が少なく無いかも知れません。

まぁ、ネット上に流れている木工関連の情報に正統性を求めることの当否をここで論じても詮ないことですし、細部の領域における問題であれば横目で見遣るしかないとの諦観を旨とすべきなのかも知れません。
オトナの対応というものです。

また、こうした事例のように、欧米における木工のスタイルと、私のように松本民藝や、横浜クラシック家具の制作に出自を持つ制作スタイルとでは明らかな違いがあることも事実で、欧米の制作スタイルとの差異に踏まえた視点から評すべきという考え方も理解すべきなのかも知れません。

ただ、この日本と欧米の制作スタイルの差異を語る場合、実はそれ以上に共通するものが圧倒的に多いことも事実であることは、木工に限らず、モノ作りにおける万国共通のものがあることも言うまでもありません。

今回はそうした制作上における国境を隔てる差異を超えた、共通認識としての「本質的」な領域の問題として、この〈間違い〉を指摘させていただき、これを糾すのもキャリア職人の務めということから取り上げるものです。

箱物の組み上げ

ご覧のように、この画像は4本の柱と、これを繋ぐ幕板、棚口、横框などで構成される部品を一気に組み上げているところです。
いわゆる純然たる箱物という構造体ではありませんが、框組による構成と見做しても大きな間違いでは無いでしょうから、ここでは〈框組みの箱物〉として援用させていただき、考察していきたいと思います。

大きなクランプを四方八方から巡らせ、胴付きの接合などを確認しながら組んでいる途上のようです。

しかしこの方法では胴付きの結合度を視るのが精一杯で、個々の接合部位のカネ(設計上は長形な駆体として、それそれの隅は直角で繫がるべきところ)のチェックも難しいものとなりますし、
何より、このような手法ではこれらの微調整は極めて困難なものとなるでしょうね。

このカネというのは、箱物を組むにあたっては大変重要な事柄で、決して安易に考えてはいけません。
ここを曖昧にしたまま組み上がれば、その後、ここに納まってくるであろう抽斗や扉は駆体の歪みに邪魔され、設計通りには納まらないことになり、その結果、これを無理やり駆体に合わせるため、余計な調整作業を強いられることになります。

いかに美的で素晴らしい設計案であっても、構造的な正しさ(胴付きが正確に結合され、四角い面は正しく四角に…)が為されませんと、家具に求められる用途が本来の設計通りにはいかないことになります。

また、このカネは水平面から垂直面まで、複数のエレメントが絡んできますので、これらを全て設計通りの駆体として組み上がることが求められますが、このように一気に組み立てるのはこうした要請に対し、あまりに無謀に過ぎます。

いわゆる箱物と言われる、広く一般的に制作される家具というものでは、様々な形体があり、これらの複合体として構成されているものですが、しかしキホンは平面体と平面体が結合された構造の複合体ということができます。

したがって、この複数の平面で構成される1つの家具の正しい組み立て方というのは、いきなり立体構造の完成形を一気に組み立てるというアプローチを採ってはいけません。
「いけません」、というより、無理なのです。


まずは立体を構成する、それぞれの平面を組み上げ、ボンドが乾き、接着力が十全に発揮された後、これらの平面をまず仕上げ、
次の段階で、これらの平面を立体面として完成させるための部材を枘差しするなどで組み上げ、これを仕上げ、完成形へと進めていきます。

以下、少し詳述しますと・・・、

まずは立体の、いずれかの面の部分を正しく組み立てます。(一般的な箱物とすれば、帆立(側板)になります)
この組み立ての段階で、設計通りになるよう、カネや平滑度の確認を行いつつ組み上げていきます。

ボンドの結合力が所定の時間経過まで、圧締保持させます。

次に、圧締を解き、設計通り、平面部分は平面になるよう、直定規、スコヤなどでよく確認しながら削り合わせる工程が必要です。
(ただこの段階ではもはやカネの調整はできません)

次に、この調整された面(〈帆立〉、あるいは〈側板〉)を、立体成型するために、正面の棚口や、裏面の横桟(後桟)などを枘差し、組み上げていきます。

こうした2段階による組み立てがキホンです。
そうでありませんと、後述するように正しく組み上げることは至難ですし、正しく調整するためのその後の工程が大変困難なものとなります。

これらは家具制作においては基本のキですので、職業訓練校などでのカリキュラムでも重点的に教えられる事柄のはず。

ただ残念ながら、ネット上ではTop画像のように、数多くのクランプを動員し、苦労しながら一気に組み立てている絵柄などを視ることがあります。

これはしかし、労多くして功 少なし、です。
苦労しながら何とか組み上げても、前述のようにカネを確保するために微調整させたり、平面を確保するのは無理というものです。

急がば回れではありませんが、モノ作りでは合理性の観点をがあらゆる工程において貫かれねばなりません。
それにより無理、無駄が無く、スマートに組み上げることで、設計通りの造形物ができあがるのです。

次回は、この辺りのことを少し具体的に考えていきます。

宮本貞治 さん

毎日新聞web版より借用。深謝

重要無形文化財・木工芸部門の保持者として、宮本貞治さんが認定されることになったようです。
敬意を表し、心から讃えたいと思います。
おめでとうございます。

かなり以前より、木工芸分野での次の人間国宝は、この宮本さんだろう事は信じて疑わなかったこともあり、意外感は無かったとはいえ、認定の報には安堵はもちろんのこと、少しく興奮めいたところがあります。
心からお喜びしたいと思います。

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